業務用エアコンの暖房が弱く、「設定温度を上げても暖まらない」とお困りではありませんか?
例えばこんな症状は要注意です。
- 温風がぬるく、室温が上がらない
- 室外機が止まったまま動かない
- 暖房中にブレーカーが落ちることがある
これらの多くは、フィルターの汚れ・冷媒不足・霜取り運転・外気環境・経年劣化などが原因です。
この記事では、暖房が弱いときに確認すべきポイント、自分でできる改善策、修理や交換の目安を解説します。適切な対処を行うことで、暖房効率を回復し電気代を抑えながら快適な空間を維持する方法がわかります。
業務用エアコンの暖房が弱いと感じたら
冬場、設定温度を上げても室内がなかなか暖まらない。
そんなとき、「エアコンが故障したのでは?」と不安になる方も多いでしょう。
しかし、実際には故障以外の要因で暖房能力が低下しているケースが少なくありません。
暖房の仕組みと室外機の役割
業務用エアコンは、冷媒ガスを循環させることで外気の熱を室内に取り込む仕組みです。
このとき、熱を「集める・放出する」役割を果たすのが室外機と熱交換器。
外気温が低くなるほど取り込める熱量は減少するため、室外機の状態や外気環境が暖房効率を大きく左右します。
家庭用と業務用の違い
家庭用エアコンよりも業務用エアコンは馬力があり、広い空間を一括して暖めることができます。その一方で、外気温の影響を受けやすく、室外機が複数の室内機を同時に制御しているため、ひとつの異常が全体に波及しやすいという特徴もあります。
特にオフィスや店舗などの大空間では、天井高や断熱性の影響も大きく、体感温度が上がりにくい傾向があります。
体感温度が上がらない原因
暖房能力自体に問題がなくても、「部屋が暖かく感じない」ことがあります。
それは、次のような要因が関係しています。
- 室内の湿度が低下している
- 吹き出し口の風向きが一定で空気が循環していない
- 窓やドアの隙間から冷気が侵入している
このように、エアコンの出力以外にも環境要因が暖かさに影響します。
業務用エアコンの暖房が弱くなる主な原因とチェックポイント
「風は出ているのに暖かくない」「運転しているのに室温が上がらない」。
このような場合、エアコン内部または設置環境に原因があることが多いです。
フィルターや熱交換器の汚れによる風量不足
室内機の吸込口や熱交換器にホコリが溜まると、空気の流れが遮られ、熱交換効率が低下します。その結果、設定温度になっても暖かい空気が十分に送れなくなります。
特に、フィルター清掃を2か月以上行っていない場合は、まず清掃を行いましょう。
対策
フィルターを取り外し、掃除機または水洗いで汚れを除去。
目安
2週間〜1か月に1回が理想。
冷媒ガスの不足・漏れによる暖房能力の低下
冷媒は「熱を運ぶ媒体」です。これが不足すると、外の熱を十分に取り込めず、温風がぬるくなる現象が起きます。
冷媒の減少は配管やバルブの劣化が原因で、専門の点検と補充が必要です。
自力での確認や補充は危険なため、冷媒漏れの疑いがある場合は業者に依頼しましょう。
霜取り運転による一時的な停止
外気温が低い冬場には、室外機の熱交換器に霜がつくことがあります。この霜を溶かすために行われるのが「霜取り運転」です。
この間、エアコンは一時的に暖房を停止しますが、故障ではありません。数分~10分程度で再び暖房運転に戻るので、慌てず様子を見ましょう。
霜取り中は「送風」「停止」に切り替わる場合がありますが、これは自動制御によるものです。
室外機の設置環境による性能低下
室外機が雪や落ち葉に覆われていると、吸排気が妨げられ、熱交換が十分に行えません。
また、屋外が極端に寒い・日陰になっている・強風が直撃するなどの環境でも暖房能力が落ちます。
対策として、
- 室外機周囲50cm以上を確保する
- 積雪地域では防雪フードを設置
- 風の吹き込みを防ぐ遮風板を設置
などが効果的です。
設定温度・風量・風向きの設定ミス
意外と多いのが、リモコン設定のミスです。暖房モードに設定しているつもりが「自動運転」や「ドライ」になっているケースもあります。また、風向きが上向き固定だと、天井ばかり暖まり、足元が冷えることがあります。
以下の設定に変更しましょう。
モード:「暖房」に設定
風向:下向き
風量:「自動」または「強」に設定
経年劣化・センサーや基板の不具合
10年以上使用している業務用エアコンでは、温度センサーや基板の経年劣化による制御不良も考えられます。
この場合、内部部品の交換が必要になるため、専門業者の点検が必須です。
症状と考えられる原因・対処法まとめ
|
症状 |
主な原因 |
対応策 |
|
温風が出ない |
冷媒不足/霜取り運転中 |
運転再開を待つ/点検依頼 |
|
風が弱い |
フィルターやファンの汚れ |
清掃・風量調整 |
|
暖房が安定しない |
センサー不良・基板劣化 |
修理・交換 |
|
電気代が高い |
熱効率低下・霜取り頻発 |
定期メンテナンスで改善 |
自分でできる改善策とセルフチェック方法
「業務用エアコンの暖房が弱い」と感じたら、まずは自分でできる範囲の点検から始めましょう。ただし、電気配線や内部の分解作業は資格が必要なため、ここでは安全に行える範囲のみを紹介します。
フィルター清掃(2週間〜1か月に1回が目安)
フィルターにホコリが溜まると吸込風量が減り、熱交換効率が大幅に低下します。
脚立などを使い、安全を確保したうえでフィルターを取り外し、掃除機でホコリを吸い取るか、水洗いして乾燥させましょう。
この清掃だけでも、暖房効率が最大10〜20%改善するケースがあります。
吸込口・吹出口まわりのチェック
机や棚などが吹出口を塞いでいると、温風が循環せず暖房効果が下がります。また、吸込口に紙やビニールが貼り付いているケースもあるため、周囲50cm以内に障害物がないか確認しましょう。
リモコン設定の見直し
リモコン設定の見直しも重要です。
暖房が弱く感じる場合は、次の設定を確認してみてください。
- モード:「暖房」になっているか
- 設定温度:20〜22℃程度に設定
- 風量:「自動」または「強」
- 風向:下向き(天井にこもらないように)
また、自動運転モードでは冷暖房を繰り返すため、安定しにくいことも。暖房に固定して運転するのがおすすめです。
室外機周辺の確認
室外機の吸込口や排気口が雪や落ち葉、ゴミなどで塞がっていないかを確認します。通気が確保されないと、熱交換ができずに霜取り運転が頻発します。
積雪地域では、防雪フードの設置や高所架台を使用することで凍結を防げます。
加湿器・断熱カーテンで体感温度を改善
湿度が40%を下回ると、体感温度は2〜3℃低く感じられます。加湿器を併用すると空気の保温性が高まり、実際の温度を上げずに暖かく感じられるようになります。また、断熱カーテンやサッシ用断熱シートも有効です。
自分でできること/業者に任せるべきこと
|
内容 |
自分でできる |
専門業者が必要 |
|
フィルター清掃 |
◎ |
– |
|
室外機まわりの除雪・清掃 |
◎ |
– |
|
吹出口・風向きの確認 |
◎ |
– |
|
冷媒ガス補充 |
× |
◎ |
|
センサー・基板交換 |
× |
◎ |
|
定期点検(電流・圧力測定) |
× |
◎ |
業務用エアコン専門業者に依頼すべきケースと費用相場
「自分で確認しても改善しない」「エラーコードが表示される」「ブレーカーが頻繁に落ちる」そんな場合は、専門業者への点検依頼が必要です。内部回路や冷媒に関わる部分は、資格がないと触れられません。
冷媒ガス漏れ・補充
冷媒が不足すると、暖房が効かない・室外機が頻繁に止まるなどの症状が出ます。
点検費用は2〜5万円前後です。漏れ修理やガス補充を伴うと最大8万円程度になる場合もあります。
センサー・基板・ファンモーターの不良
経年劣化でセンサーが誤作動すると、設定温度に達しても暖房が停止してしまうことがあります。修理費用は3〜10万円が目安です。
制御基板やファンモーターは部品代が高いため、10年以上使用している場合は交換検討がおすすめです。
霜取り制御の異常・凍結トラブル
霜取り制御が誤作動を起こすと、暖房が頻繁に止まる・温風が出ないといった症状が現れます。この場合、センサー調整または制御基板の交換が必要です。
修理と交換の判断基準
業務用エアコンの寿命は約10〜15年です。10年以上経過している場合、修理よりも買い替えた方がコストメリットが高いこともあります。
補助金やリースを活用すれば、初期費用を抑えつつ最新の省エネ機種に更新することも可能です。
業務用エアコンの暖房効率を維持するメンテナンス習慣
定期点検の重要性
「暖房が弱い」と感じる前に、年1〜2回の定期点検を実施しましょう。
プロによる点検では、以下の項目を確認します。
- 冷媒圧力と温度差の測定
- 電流・電圧の異常確認
- 室外機・室内機内部の清掃
- 熱交換器の目詰まり確認
これにより、小さな異常を早期に発見し、トラブルを未然に防ぐことができます。
環境別メンテナンスのポイント
- 寒冷地
防雪フード・寒冷地仕様モデルを採用
- 海沿い地域
耐塩害仕様の室外機を選定
- 厨房
油煙による熱交換器の詰まりに注意
環境に応じた対策を行うことで、エアコンの寿命を1〜3年延ばせるケースもあります。
省エネ運転のコツ
- 設定温度:20〜22℃
- 風量設定:自動または強
- 起動時の温度上げすぎに注意(28℃以上は効率低下)
- 室外機の通気確保
小さな工夫で、電気代を5〜10%削減することも可能です。
まとめ|早めの点検で暖房効率とコストを守る
業務用エアコンの暖房が弱いと感じるときは、汚れ・冷媒不足・霜取り運転・外気環境・経年劣化のいずれかが関係していることが多いです。まずは安全にできる範囲でフィルター清掃や設定確認を行い、それでも改善しない場合は専門業者への点検依頼を検討しましょう。
定期メンテナンスを継続することで、暖房効率の回復だけでなく、電気代の削減や設備寿命の延長にもつながります。早めの対応で、快適な冬の空調環境を維持しましょう。
「暖房が効かない」「設定しても温度が上がらない」
そんな症状でお困りの方へ。
岡山・広島・香川で業務用エアコンの点検・修理・入れ替えを検討中の方は、
補助金×リース活用に強い《アイドットコム》にご相談ください。

